Li-ion電池動作機器 / IoT / バックアップ

Li-ion/Polymer 2次電池は多くの機器に使われており、IoT/センサー機器やウェアラブルデバイス、さらに産業機器のバックアップなどにも用途が広がっています。

1次電池に対し充電制御と電源電圧を合わせるための超低消費降圧の追加が代表的な電源構成になります。より低消費化への工夫やセンサー、無線通信への低ノイズな電源供給、さらに、バックアップ用途にも適した電源経路の OR接続、そしてフリーズ等機器の異常時の対策を紹介します。

ブロック図 要求項目 推奨製品 特徴
Charger
Li-ion/Polymer充電用

要求仕様
CV: 4.2V, CC: 200mA

その他

  • 電池内蔵NTCを用いた温度制御
XC6803 (XC6804 / XC6808)

Linear Li-ion Charger

  • シンプル、かつNTC充電制御でUSB他5Vからの充電に最適
  • 充電電流を抵抗で設定可能
  • 充電電流に合わせてピン互換製品を準備
    XC6803 (40~280mA), XC6804 (200~800mA), XC6808 (5~40mA)

VIN: 4.5~6V
CV: 4.2V
CC: 40~280mA
温度監視: JEITA準拠(他3タイプを用意)

理想ダイオード
5Vからと電池からの電源経路のOR接続用

要求仕様
SBD代替、電圧ロス無しで逆流防止
5Vから供給の際は電池の消費電流が無いこと

その他
5Vが切断時、直ちに Li電池からの供給に切り変わり

XC8110 / XC8111

理想ダイオードロードSW

  • 完全逆流防止機能付きロードSW
  • Vf=20mV 相当の理想ダイオード機能
  • 逆方向バイアス時、Iq=0μA

VIN: 1.5~6V
IOUT: 500mA (XC8110), 1A (XC8111)

降圧 / LDO
MCU用

要求仕様
VOUT: 3.0V(動作時) / 1.8V(Sleep時)
IOUT: 50mA

その他

  • MCUからの出力電圧切替
  • 軽負荷(1μA~10μA)での高効率
XC9276 (XCL210)

超低消費 & 出力電圧切替(VSET)機能付き降圧DC/DC

  • 超低消費 200nA
  • VSET機能でMCUの状態に応じて出力電圧切替(Sleep時に出力電圧を下げて、低消費化を実現 etc)
  • コイル一体型XCL210もあり(出力電圧切替機能無)

VIN: 1.8~6.0V
VOUT: 0.6V~3.6V(2電圧を選択)
IOUT: 150mA
Iq: 200nA

XC6504

低消費出力コンデンサレス 電圧レギュレータ

  • コストパフォーマンス良 / 省面積
  • 低消費 0.6μA
  • 出力コンデンサ不要

VIN: 1.4~6.0V
VOUT: 1.1V~5.0V
IOUT: 150mA
Iq: 0.6μA

降圧 / LDO
RF/Sensor用

要求仕様
VOUT: 3.0V
IOUT: 100mA

その他

  • MCUからON/OFF制御
  • 低ノイズ
XCL205 / XCL206

コイル一体型 降圧DC/DC, PWM (XCL205), PWM/PFM (XCL206)

  • 低リップルとコイル一体型の低EMIでRF/センサに最適

VIN: 1.8~6.0V
VOUT: 0.8V~4.0V
IOUT: 600mA
fosc: 3MHz

XC6233 (XC6215)

高速過渡応答/高リップル除去電圧レギュレータ

  • RF/センサに適した低ノイズ
  • 過渡応答にも優れ、RFの電流変化にも最適
  • 100kHz以上のノイズが重要な用途には低消費レギュレータ: XC6215が適する場合も有り

VIN: 1.7~5.5V
VOUT: 1.2V~3.6V
IOUT: 200mA

RESET
電池電圧モニター用

要求仕様
検出電圧: 3.0V
超低消費電流

XC6136N (XC6135C)

超低消費電圧検出器

  • 100nAクラスで電池への負担が極小
  • Li-ion/PolymerとMCUの電源電圧が異なるので、Nchオープンドレイン出力
  • 消費電流削減する場合は、検出端子分離(XC6135)のCMOSタイプ

VIN: 1.1~6.0V
検出電圧: 1.2V~5.0V
Iq: 150nA@2.7V

Push Button Reboot

要求仕様
Pushボタンを長押しすることにより、MCUをリセット

XC6190

Push Buttonリブートコントローラー

  • 機器がフリーズなど異常時、強制リセット/リブート
  • Pushボタン1つ長押しと2つ同時押しでのMCUリセット
  • MCUコントロール用Pushボタンと共用が可能
  • 非押下時ほぼ消費電流無し

VIN: 1.75~6.0V
リブート遅延時間: 1~20 sec
Iq: 0.01μA(Pushボタン非押下時)

ソリューション概要

Li-ion/Polymer 2次電池を用いた IoTデバイスでは、充電用の電池充電ICと MCUの電源電圧範囲に電圧を落とす降圧DC/DC または電圧レギュレータが必要です。ブロック図(a)にシンプルな構成例を示します。

CHARGER ICについて

まずは電池充電ICの使い方を説明します。
充電電圧(CV: Charge Voltage)と充電電流(CC: Charge Current)が基本的な選択になります。必要とする充電電流に合わせて充電ICおよび抵抗RESETを選定します。

電池充電IC
XC6808: 5mA ~ 40mA
XC6803: 40mA ~ 280mA
XC6804: 200 mA ~ 800 mA

本ブロックのLi-ion/Polymer電池はNTCが内蔵されPCM(電池保護回路)が外付けの場合です。PCMは内蔵/外付けに関わらず必須です。
NTCについては、電池に内蔵されていない場合は置き場所に注意して外付けしてください。
NTCが不要な場合は電池充電IC指定の方法でNTC接続端子の処理を行って下さい。

ここでは充電状態を示すCSO端子はMCUに充電状況を送るために使用しています。
CSO端子はNchオープンドレイン出力で、MCUのI/O電圧範囲に信号の"H"レベルを合わせるためにMCUの電源に抵抗でプルアップしています。
LEDで充電状態を表示する場合は、電流制限用の抵抗を通してLEDを駆動し、その電源はVINからとるようにします。これは充電ICが供給した充電電流でLEDを駆動しないようにするためです。

VINにサージ保護用のTVSを置いています。外部端子ですからESD等サージの可能性が有ることと、粗悪なUSBアダプタでは無負荷の際にかなり高い電圧が出る可能性もあり、TVSやツェナーダイオードで対策します。

MCU向け降圧DC/DCおよびLDOについて

Li-ion/Polymer電池は、CV=4.2Vや4.35Vと高く、一般的に最大3.8V程度のMCUには降圧DC/DCまたは電圧レギュレータが必須になります。
IoT機器では、MCUは多くの期間Sleep状態で動作するため、IOUTがμAオーダー(Sleep時)から100mA以上(動作ピーク時)まで高効率である必要が有ります。

この用途には超低消費とともに出力電圧切替(VSET)機能を搭載している降圧DC/DCを使用することで更に電池持ちを良くすることができます。
出力電圧切替機能を用いると消費電流は同じでも動作電圧を下げることができ、消費電力を大きく低下させることができます。
一般的にMCUは内蔵するRFやA/Dや高速演算等のため、動作時に高い電源電圧が必要ですが、Sleep時には最小電圧で動作可能です。
例えば、Sleep時にVOUTを3.0Vから1.8Vに低下させることで、MCUの消費電力を削減し電池持ちを大きく改善することが可能です。

降圧DC/DC
XC9276: Iq = 200nA, 出力電圧切替機能
XCL210: コイル一体型 Iq = 0.5μA(出力電圧切替機能無)

安価にソリューションを構成する場合には電圧レギュレータが適します。
また充電が可能なアプリケーションでは効率が劣る電圧レギュレータでも問題ないと判断されて使用される場合もあります。

電圧レギュレータ
XC6504: Iq = 0.6μA, 出力コンデンサ不要

RF/Sensor向け降圧DC/DCおよびLDOについて

RFやセンサも電池電圧が高いことから降圧DC/DCや電圧レギュレータが必要になります。
RFでは低リップルかつ低EMIが重要です。

降圧DC/DC
XCL205: コイル一体型PWM, 3MHz/高効率/低EMI
XCL206: コイル一体型PWM/PFM, 3MHz/高効率/低EMI

MCUが必要なときのみCE="H"にして降圧DC/DCを動作させて、RFやセンサに電圧供給をして動作させます。
停止時はRFやセンサの機能を止めるだけでなく降圧DC/DCの動作も停止させ、電池を長く使えるようにします。

動作時のリップルを抑え、そのノイズ周波数を一定とするにはPWM固定タイプが適します。
軽負荷の動作状態が有る場合はPWM/PFM自動切り替えタイプを用います。

電圧レギュレータを用いる場合は、高リップル除去/低ノイズかつRFのような消費電流の変化が急峻な負荷過渡応答に優れる高速LDOが最適です。
なお、センサ用途で100kHz以上のノイズが重要なケースでは、高周波ノイズが低い低消費タイプが高速タイプよりも適するケースも有ります。

電圧レギュレータ
XC6233: 高速
XC6215: 低消費

RESET ICについて

電池電圧監視用に超低消費電圧検出器を用いています。
検出する電池電圧とMCUの電源電圧が異なるためNchオープンドレインタイプを用い、MCUの電源電圧に抵抗でプルアップしてMCUに信号を渡します。
検出後のプルアップ抵抗による消費電流を削減したい場合には、センス(VSEN)端子が電源(VIN)端子から分離、かつCMOS出力タイプを用います。
電源をMCUの電源電圧から取ることによりCMOS出力タイプを使用することができます。

電圧検出器
XC6136 Nタイプ: Iq~100nA(Nタイプ: Nchオープンドレイン出力)
XC6135 Cタイプ: Iq~100nA, センス端子分離タイプ(Cタイプ: CMOS出力)

Push Buttonリブートコントローラについて

フリーズ対策として付加したPush Buttonリブートコントローラについてです。

Push Button リブートコントローラ
XC6190

Li-ion/PolymerのIoT機器は一般には電池を取り外すことができないため、フリーズ等機器の異常時にRESETをかけて再起動させる機能が必要です。
この例ではMCUのコントロール用にプッシュボタンが2つあり、これをPush Buttonリブートコントローラと共用しているケースを示しています。
フリーズ時、両SWを同時に押し続けて規定の時間が経つとRSTBが"L"に落ちてMCUをRESETすることができます。RSTBはNchオープンドレイン出力ですので、MCUの電源電圧にプルアップします。
また、ここではMCUにRESETB信号を送っていますが、例えばMCUの電源の降圧DC/DCのCEをドライブして、長押しRESETでDC/DCをOFFして強制的に再起動する方法もあります。

理想ダイオード ロードSWについて

ブロック図(b)は 5Vからと Li電池からの電源経路を分けて OR接続しているケースです。充電中に機器の消費電流が多いケースや、バックアップとして Li電池を用いるケースに適します。
電源経路の OR接続には一般的に SBDを用いますが、その Vfによる 0.3~0.5Vの電圧降下がロスとなり、Li電池による機器の使用時間、バックアップ時間に大きく影響してしまいます。
理想ダイオードロード SWは Vf相当が 20mVと大変小さいためロスが小さく、電池を長く使用するのに最適です。
一般の逆流防止付きロードSWはある程度の逆流をしてからしか停止できず、SBDの代替としては使用できませんでした。これに対し理想ダイオードロードSWは常時逆流を防止し、電池に対して安心して使用することができます。

理想ダイオードロードSW
XC8110: 500mA
XC8111: 1A

以上のように、最適な機能のICを配置することにより、シンプルながら各種 Li-ion/Polymer機器やバックアップに要求される小型や低ノイズ、長寿命を実現することができます。

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