投稿日 : 2023年2月20日 / 最終更新 : 2023年4月6日

電圧レギュレータの短所である、損失・発熱について説明します。

電圧レギュレータはIC内部のドライバトランジスタ / FETを可変抵抗として、抵抗値を調整することで出力電圧を一定に制御します。

これはIC内部の可変抵抗(ドライバトランジスタ / FET)により、入力電圧と出力電圧の差分である入出力電位差をIC内部で電圧降下させることを意味します。この可変抵抗での電圧降下とICに流れる電流(=出力電流)により、損失およびICの発熱が発生します。

具体的な例として、入力電圧が5V、出力電圧が3V、出力電流が100mAの場合を考えます。

入力電圧5Vと出力電圧3Vの差分である2Vが、IC内部で電圧降下されます。ICに流れる電流は出力電流と同じ100mAになります。(厳密には消費電流等で若干の差異が生じます。)

この電圧差分の2Vと、ICに流れる電流100mAによって、IC内部では2V×100mA=200mWの電力が損失し、ICが発熱します。

( VIN – VOUT) x IOUT = 熱損失

入力と出力の電位差が大きい程、発熱/損失は大きくなる

計算式から分かるように、入出力電位差が大きい条件や出力電流が大きい条件では、ICの損失が大きくなりICの発熱量が増加します。

今回の例では、入力電圧5Vから出力電圧3Vなので差分は2Vですが、これが入力電圧24Vから出力電圧3Vに落とす場合にはその差は21Vとなり、出力電流100mAでは2.1Wも損失することになります。

また発熱量が大きくなると、ジャンクション温度が上昇するため、ジャンクション温度を抑制するために放熱対策が必要となります。
ジャンクション温度がICの絶対最大定格を超えるような条件では、高放熱製品への変更やスイッチングタイプのDC/DCコンバータへの変更を検討しなければなりません。