電圧レギュレータの基礎知識(4/4)

上手に使うためのヒント

リニアレギュレータをより便利に使うための技術を紹介します。

パッケージの工夫で許容損失容量を増やす

リニアレギュレータの熱損失は入力電圧と出力電圧、出力電流の関係により決まります。

熱損失(Pd)=(入力電圧-出力電圧)×出力電流

いかにパッケージの放熱を良くし発熱させないかが実際の機器を製作する上で重要になります。放熱を効率よく行うパッケージにUSPパッケージがあります。パッケージの裏面にICシリコンが載っている金属のダイがむき出しになっており、そこから基板に放熱ができるようになっています。(写真2)
放熱量は基板の金属面積によりますのでUSP-6Cパッケージの放熱特性例を図17に示します。USP-6C単体では120mWの許容損失が、銅箔面積を片面800mm²(2層基板 表裏合計1600mm²)にすることで1Wの許容損失になり、さらに銅箔面積を大きくすることで大きな許容損失が得られます。評価に使用したボードは図16です。

(写真2)USP-6Cの裏面放熱板写真

(図16)放熱評価に使用した基板(2層基板)

(図17)USP-6Cパッケージ放熱特性例

XC6504x181xR

レーザートリミング

CMOSリニアレギュレータでは、出力電圧がプリセットされており外付抵抗などで出力電圧を調整するものはほとんどありません。代わりに0.1Vや0.05Vステップで出力電圧が用意されています。これには高精度に任意の電圧設定を容易に行えるレーザートリミング技術が用いられます。CMOSプロセスの場合バイポーラトランジスタのバンドギャップリファレンス(注1)のように安定した基準電源が作りにくいため、内部の基準電圧のバラツキを出力電圧プリセット用の抵抗をレーザートリミングすることで任意の電圧に設定すると同時に、出力電圧精度を確保するという手法が一般的に行われているためです。(図18)
出力電圧精度は一般的なもので±2%、高精度なもので±1%などがあります。また製品によっては動作温度範囲において出力電圧精度を規定されているものもあります。

(注1)バンドギャップリファレンス
「バイポーラトランジスタのエネルギーバンドギャップと抵抗などを用い、絶対温度に比例する電圧の温度係数の相反性を利用し、温度に対し一定の安定した電圧を得る回路。

(図18)レーザートリミング技術のバラツキ精度補正のイメージ

トリミング前:
ウエハ製造上のバラツキがそのまま現れています。

トリミング後:
狙い値を中心にバラツキが殆どなくなります。

レーザートリミングでは1チップ毎に測定された値を使って狙い値に対してトリミングの量を決めます。そうすることで高い精度が得られます。

電圧レギュレータの選定

まず、入力電圧が足りているか、電流は足りているかといった前提条件はクリアした上で、“その用途によって高速タイプが適しているのか、低消費タイプが適しているのか”といった選択肢が出て来ます。通信が発生したり電源の揺れにシビアな用途だったりと高速応答が要求される場合には、過渡応答やリップル除去率といった応答性に関する特性の良いものを選定して下さい。
一方、小型電池を使って電池持ちを特に気にするようなアプリケーションであれば、より消費電流の少ないタイプを選定して下さい。また、重要な点として2点述べさせていただきます。
みなさんそれぞれご自分の持ち場でディレーティングの社内規定等があるかと思いますが、“大は小を兼ねる” の精神でディレーティングを大きく取り過ぎると、例えば100mAしか使わないのに電流マージンを大きく取って500mA品を選定した場合、電流制限は600~700mA付近でかかるので、仮に出力が中途半端にレアショートした場合には想定よりも過大な電流が流れてしまいます。さらに500mA品では周辺に必要なコンデンサなどの部品も大きくなる可能性があり、スペースや コストにも影響してしまいますので、必要のない過大なマージンには要注意です。
周辺部品については、基本的には製品データシート推奨の部品を基準にして下さい。 容量値だけ1μF、と記載のある場合には、“どんなに小さなサイズの1μFでも動くかどうか” というのは確約できないので、使おうとしている部品の品番をICメーカーに連絡して確認してみて下さい。例えば1μFと書いてあるセラミックコンデンサでも、あまりに小さなサイズだと、使いたい電圧では実効容量として1μFのうち何%の容量が使えるかは良く確認する必要があります。

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