LED照明コントローラー XC9401設計ガイド(7/9)

7.絶縁型回路 部品選定方法

絶縁型回路の外付け部品の選定方法について説明します。
本項では図.33に示す220VACでのXC9401 Aタイプを用いた絶縁型回路を例に説明します。

(図33)220VAC/240VAC絶縁フライバック、Aタイプ 代表回路例

7-1.LED直列数

本アプリケーションでのLED直列数の選定基準について説明します。

絶縁フライバック回路では、外付けパワーMOSFETにAC入力に加えLED電圧に比例するフライバック電圧が印加されます。(7-9項参照) そのため、LED直列数を大きくすると、外付けパワーMOSFETに印加される電圧が増加し、定格電圧を大きくしなければならなくなり、コスト増加もしくはオン抵抗の増加により効率が低下します。

そのため、絶縁フライバック回路においては、LED直列数を小さく設定し、周辺部品を含めた全体コストの削減を行うことが重要となります。

7-2.ブリッジダイオード (BR1)

AC入力を全波整流するためのブリッジダイオードです。ブリッジダイオードの尖頭逆電圧および平均整流電流が入力電圧・電流に対し十分余裕のあるものを選定してください。

今回の例では、入力電流のピーク値が約70mA、ブリッジダイオードに印加される最大電圧は約620Vとなるため、定格電流1A 、定格電圧800Vの製品を選定しています。

7-3.入力フィルタ (L1、C1、C2、C7)

C1、L1はAC入力からのノイズおよびAC入力へ帰還するノイズを低減するためのフィルタ回路です。図33の代表回路ではスイッチング周波数(50kHz~150kHz)以上のノイズ除去のため、20kHz以上のノイズを減衰させるようフィルタを構成しております。

実際には対象となる規制、規格に対応できるよう入力フィルタの定数調整およびフィルタ回路の調整を行う必要があります。但し、C1については、AC入力からのラッシュ電流を抑制するため容量値を小さくする必要があります。0.1µFを目安に容量値を選定してください。

また、本回路(図33)では力率改善のため、VSINE端子電圧にAC入力と同相信号を入力しています。このため、C2の容量値が大きいと、VSINE端子に入力される信号の位相がAC入力からずれてしまい力率が低下します。0.1µFを目安に容量値の選定してください。

C7はEMIレベル低減のため、1次-2次間を接続するコンデンサです。1次-2次間は絶縁が施されているため、通常のコンデンサを挿入することはできず、対象となる規制、規格を満たす安全規格認定コンデンサを選定してください。

7-4.VSINE端子 (R1、R2)

今回の例で用いているAタイプでは全波整流後の電圧をR1,R2で分圧しVSINE端子へ印加します。VSINE端子電圧は、外付けパワーMOSFETに流れる電流をR3、R4で電圧変換したISEN端子電圧と比較することで外付けパワーMOSFETに流れる電流を制御しています。(図34)

(図34)外付けパワーMOSFETおよびトランスに流れる電流

R1、R2の抵抗値については、式(15)を満たしかつ、R2が10kΩ以下になる抵抗値を選定してください。

R1、R2 図33参照
Vrms_max 入力電圧の上限値(実効値)

以下に計算例を示します。
Vrms_max=240Vの条件でR2=10kΩとした場合、R1の抵抗値は

となり、この範囲の抵抗値を選定してください。
別途計算ファイルにも同じ計算をさせています。ご利用下さい。

7-5.VDD 電源供給(R5、R6、R9、C3、D3、LT1)

ICの電源端子(VDD端子)へトランスの補助巻線を使用し電源供給を行います。

(図35)トランスを使用する方式のVDD回路

LT1

LT1の補助巻線を用いることで、VDD端子へ電流供給を行います。
トランスの選定方法については、7-6項を参照してください。

DVDD

LT1から電源電圧を供給する整流ダイオードです。DVDDには式(16)に示すようにLED電圧およびトランスの巻数比に依存した 逆バイアス電圧VDvddが印加され、逆バイアス電圧を考慮した定格電圧のダイオードを選定してください。

N1 トランス1次側巻線数
NAUX トランス補助巻線数
VDD VDD端子電圧
Vrms_max 入力電圧の上限値(実効値)
Vspike スイッチングに伴うスパイク電圧 (~50V)

以下に計算例を示します。
NAUX/ N1=1/6.74, VDD=12V, Vrms_max=240V, Vspike=50Vの条件では、逆バイアス電圧VDvdd

となります。
別途、計算ファイルにも同じ計算をさせています。ご利用下さい。

CVDD

VDD端子電圧を安定化させるコンデンサです。10µF以上の容量値のコンデンサを使用してください。
また、セラミックコンデンサを使用する場合は、X7R、X6S等の周囲温度変化およびDCバイアスにて静電容量が減少しにくい製品を選定してください。

RVDD

起動時にVDD端子への電力供給を行うための抵抗です。入力電圧が印加され、VDD端子電圧がUVLO解除電圧以上になると、GATE出力が開始され通常動作に入ります。起動後はVDD端子への主な電力供給はトランスの補助巻線を通して行われます。
RVDDが大きく、RVDDを流れる電流がICで消費する電流より小さい場合、VDD端子電圧がUVLO解除電圧以上にならず起動することが出来ません。そのため、RVDDの抵抗値は式(17)を満たす抵抗値のものを選定してください。(図35)

ISTB スタンバイ電流225µA (typ.)
VUVLOR UVLO解除電圧7.5V (typ.)
Vrms_min 入力電圧の下限値(実効値)

以下に計算例を示します。
ISTB=225µA, VUVLOR=7.5V, Vrms_min=200Vの条件では、RVDD

となり、1.22MΩより低い抵抗値を用いることで、ICを正常に起動できます。
別途、計算ファイルにも同じ計算をさせています。ご利用下さい。

RVDD1

VDD端子への電流供給を行うため、LX_VDDを振幅させVDD端子電圧を供給しております。(図36参照)
しかしながら実際にはLX_VDDにスパイク電圧が発生することで、VDD端子電圧がVDD電圧の狙い値(=VLED×N3/N2)より高い電圧に上昇する場合があります。その場合、VDD端子電圧の上昇対策としてRVDD1に抵抗を入れVDD端子へ供給する電流を抑制することで対策が可能となります。

(図36)トランスを用いたVDD回路の動作波形

7-6.トランス(LT1)

絶縁フライバック回路において、1次側の電気的エネルギーを磁気結合により、2次側に伝達するトランスです。トランスの周辺回路を図37に示します。

トランスの選定ですが、汎用トランスを使用するか、カスタム仕様のトランスを作成するかの2通りの方法があります。各々の場合の部品選定方法については、下記の通りです。

(図37)トランスの周辺回路

(図38)トランスを流れる電流およびオン、オフタイム

汎用トランスの選定方法

汎用トランスの選定は、出力電力、巻線比、インダクタンス値、対象となる規制・規格を満たせているかが選定基準となります。各項目の選定方法について、下記で説明いたします。

出力電力

トランスの出力電力が、LEDの出力電力に対して十分余裕を持つよう選定してください。実際には動作周波数等により、損失量が変動しますので、実機にてトランス温度の確認を行い、使用可能か判断してください。
今回の例では、LEDの出力電力7Wに対し、出力電力12Wのトランスを選定しています。

巻数比

トランスの1次側巻線と2次側巻線の巻数比 (=N1/N2)は、約5~10となるよう選定してください。一般的に巻線比が大きいと、漏れインダクタンスが大きくなり、効率の低下およびスナバ回路内の抵抗R8の許容損失を大きくする必要がありコスト増加の要因となります。

VDD端子への電力供給を目的とする3次側巻線についても、式(22)に示す巻線数にすることでVDD端子電圧を狙い値とすることができます。但し、LEDの直列数を変更した場合、VDD端子電圧が変化するため注意が必要です。

また、実際にはスパイク電圧が発生することで、VDD端子電圧がVDD電圧の狙い値より大きくなることがあります。その場合の対策については7-5項を参照してください。

インダクタンス値

本アプリケーションでは、非連続モードにて正常に動作するよう制御しており、連続モードでは動作が不安定になる可能性があります。そのため、トランスの1次側巻線のインダクタンス値を非連続モードとなるよう選定します。

まず、非連続モードに入るために必要な最大インダクタンス値を式(18)から算出します。1次側巻線のインダクタンス値はこの最大インダクタンス値より小さい値を選定してください。インダクタンス値の目安としては、発振周波数が100kHz前後となるインダクタンス値を選定してください。

また、1次側巻線と2次側巻線の巻数比N(=N1/N2)により、MOSFET、整流ダイオード、スナバ回路等の周辺部品への最大印加電圧が変化します。そのため、巻数比により周辺部品の最適な定格電圧が異なります。周辺部品を含めた全体コストが最適となるよう巻数比を選定してください。

N トランスの1次側巻線と2次側巻線の巻数比 (=N1/N2)
VLED LED電圧
VF 整流ダイオードの順方向電圧
tOFF オフタイム 6.0µs(typ.)
IL1_max トランス1次側巻線を流れる電流の最大値
規制・規格について

上記で選定したトランスが対象となる規制、規格に対応できるか確認を行ってください。

カスタムトランスの検討方法

カスタム仕様のトランスの検討手順の一例を示します。実際には、トランスメーカと協議を行ったうえ、トランス仕様の検討および作成を行ってください。

また漏れインダクタンスや巻線方法等によりトランスの特性が設計値からずれる場合があります。そのため、実機にて評価を行い、トランスを選定してください。

インダクタンス値および1次側、2次側巻線の巻数比

本アプリケーションでは、非連続モードにて正常に動作するよう制御しており、連続モードでは動作が不安定になる可能性があります。
そのため、トランスの1次側巻線のインダクタンス値を非連続モードとなるよう選定します。

まず、非連続モードに入るために必要な最大インダクタンス値を式(18)から算出します。1次側巻線のインダクタンス値はこの最大インダクタンス値より小さい値を選定してください。インダクタンス値の目安としては、発振周波数が100kHz前後となるインダクタンス値を選定してください。

また、1次側巻線と2次側巻線の巻数比N(=N1/N2)により、MOSFET、整流ダイオード、スナバ回路等の周辺部品への最大印加電圧が変化します。そのため、巻数比により周辺部品の最適な定格電圧が異なります。周辺部品を含めた全体コストが最適となるよう巻数比を選定してください。

コアサイズ

次にトランスのコアサイズを選定します。トランスのコアサイズは式(19)を満たすようなコアの選定してください。

AE 有効断面積[cm2]
AW ウインドウエリア[cm2]
L1 トランス1次側巻線のインダクタンス値
IL1_max トランス1次側巻線を流れる電流の最大値
IL1_rms トランス1次側巻線を流れる電流の実効値
Bmax 最大磁束密度
K 0.2Jmax×10-4(Jmax:最大電流密度 A/cm2
巻線数およびワイヤ径

トランスの1次側巻線と2次側巻線の巻数比とコアサイズの次に、1次側巻線と2次側巻線の巻線数を選定します。

まずは、選定したコアにおいて磁束飽和しないよう1次側巻線の巻線数を式(20)から算出します。
1次側巻線の巻線数の次に、2次側巻線の巻線数を式(21)から算出します。
VDD端子への電力供給を目的とする3次側巻線についても、式(22)に示す巻線数にすることでVDD端子電圧を狙い値とすることができます。但し、LEDの直列数を変更した場合、VDD端子電圧が変化するため注意が必要です。

また、実際にはスパイク電圧が発生することで、VDD端子電圧がVDD電圧の狙い値より大きくなることがあります。その場合の対策については7-5項を参照してください。

AE 有効断面積[cm2]
IL1_max 1次側巻線を流れる電流の最大値
L1 トランス1次側巻線のインダクタンス値
Bmax 最大磁束密度
VDD VDD端子電圧の狙い値(11~13V)
VLED LED電圧
VF 整流ダイオードの順方向電圧
N トランスの1次側巻線と2次側巻線の巻数比 (=N1/N2)
N1 トランスの1次側巻線数
N2 トランスの2次側巻線数
N3 トランスの3次側巻線数

次にワイヤ径の選定方法を説明します。

ワイヤ径については、巻線に流れる最大電流での電流密度、および、動作周波数において表皮効果が顕在化するかどうかにより、ワイヤ径の選定を行います。

まず、最大電流時に電流密度が6A/mm2を越えない1次側、2次側のワイヤ径を選定します。尚、3次側巻線については電流量が小さいため、特に注意する必要がありません。

次に、表皮効果が顕在化しないことの確認を行うため、上記で選定したワイヤ径が式(23)を満たしていることを確認してください。

選定したワイヤ径が式(23)を満たさない場合は、巻線を並列にすることを検討します。その上で、電流密度6A/mm2を越えず、式(23)を満たすワイヤ径、並列数を選定してください。

検討仕様でトランス作成可能か検討

上記で選定を行ったコア、巻線仕様について、実際にトランス作成が可能か検討します。ウインドウエリアに対し全巻線の銅線の総断面積の割合を計算します。アプリケーションにより異なりますが、絶縁フライバックにおいてはウインドウエリアの2割以下であればトランスの作成が可能だと判断できます。

式(24)を満たしていない場合は、コアサイズを大きくする、巻線数を減らす、ワイヤ径を細くする、のいずれかの方法をとり、トランス仕様の再検討を行ってください。

AW ウインドウエリア[cm2]
S1 トランスの1次側巻線のワイヤ断面積(=(πd12)/2)
S2 トランスの2次側巻線のワイヤ断面積(=(πd22)/2)
S3 トランスの3次側巻線のワイヤ断面積(=(πd32)/2)
N1 トランスの1次側巻線数
N2 トランスの2次側巻線数
N3 トランスの3次側巻線数
p1 トランスの1次側巻線の並列数
p2 トランスの2次側巻線の並列数
トランス構造について

トランス構造については、巻線間の結合を強くすることで漏れインダクタンスを小さくし、効率の向上、および、トランスの発熱を抑制することが非常に重要となります。トランス構造の推奨例を図39に示します。

図39のトランス構造ではTEXまたはスペーステープを使用することで、220VAC/240VAC系での沿面距離を満たすよう設計しております。実際には対象となる規制、規格に対応できるようトランス構造を検討してください。

(図39)トランス構造の推奨図

規制・規格について

絶縁フライバック回路で用いる、絶縁トランスについては耐電圧等の規格を確認してください。実際には対象となる規制、規格に従い、トランスを作成してください。

7-7.スナバ回路(C6、R8、D1)

外付けパワーMOSFETをオフした時、トランスの漏れインダクタンスに蓄えられたエネルギーにより外付けパワーMOSFETが破壊しないためのスナバ回路です。今回の例で用いているスナバ回路を図40に、MOSFETがオフした時のMOSFETのドレイン電圧およびスナバ回路の電圧を図41に示します。

図41からわかるように、MOSFETをオフした時にドレイン電圧が急峻に立ち上がりますが、スナバ回路によりドレイン電圧の上昇を抑え、MOSFETの破壊を回避します。

(図40)スナバ回路

(図41)MOSFET ドレイン電圧およびスナバ回路の電圧

次に、R8およびC6の抵抗値および容量値の選定方法とスナバ電圧の決定方法について説明をします。

トランスの漏れインダクタンスによりエネルギーが発生し、MOSFETのオフ時にコンデンサC6にエネルギーが蓄積されます。この時のC6への印加電圧と漏れインダクタンスの関係は式(25)に表されます。

また、ΔVC6はR8が電荷を放電したことによる電圧低下であり、VC6>>ΔVC6とすると、ΔVC6は式(26)となります。

スナバ電圧VsnubはVC6と同一であると近似できることから、C6およびR8は式(25)、(26)を用い、式(27)(28)に導出することができます。

C6 C6の実効容量値
VC6 MOSFETをオフする直前のC6への印加電圧
ΔVC6 MOSFETのオフ前後での、C6への印加電圧の差分
Vsnub スナバ電圧 (100V~150V)
Lleak トランスの漏れインダクタンス値
IL1_max トランス1次側巻線電流の最大値
tOFF オフタイム 6.0µs(typ.)

ここで、スナバ電圧Vsnubの設定値を100V~150V、ΔVC6=5Vを目安に設定すると、R8の抵抗値およびC6の容量値を導くことができます。また、スナバ電圧Vsnubを大きくしすぎと、外付けパワーMOSFETおよびC6、D3の定格電圧を高める必要が生じコスト増加の要因となってしまいます。

ダイオードD3については、定格電圧が十分高く、逆回復時間の短いファストリカバリーダイオードをご使用願います。但し、実際には、配線の寄生インダクタンスやトランス等の影響があり、上述の結果から異なる場合があります。そのため、実機にてスナバ電圧および各部品の発熱を確認の上、部品を選定してください。

以下に計算例を示します。
Lleak=30µH,IL1_max=0.4A,tOFF=6.0µsの条件において、Vsnub=100V, ΔVC6=5Vと設定値とすると、R8、C6は

となります。
別途計算ファイルにも同じ計算をさせています。ご利用下さい。

7-8.整流ダイオード(D2)

MOSFET Q1がオフ状態の時に、トランスに蓄積されたエネルギーをLEDのアノード側に流し、トランスの2次側に逆流しないようにするための整流ダイオードです。
絶縁フライバック回路において、整流ダイオードD2に印加される最大電圧は式(29)にて表され、それ以上の定格電圧を持つ製品を選定する必要があります。

また、逆回復時間の短い、ファストリカバリーダイオードおよびショットキーダイオードを選定してください。逆回復時間の長いダイオードは効率を悪化させますので、ご注意下さい。

Vrms_max 入力電圧の上限値(実効値)
N1 トランス1次側巻線数
N2 トランス2次側巻線数
VLED LED電圧

以下に計算例を示します。
Vrms_max=240V, N2/N1=1/4, VLED=19.2V, VF=1.0Vの条件では、整流ダイオードに印加される最大電圧は

となることがわかります。今回の例では、定格電圧200Vの製品を選定しています。
別途計算ファイルにも同じ計算をさせています。ご利用下さい。

7-9.MOSFET、ゲート抵抗(Q1、R7)

スイッチング用のパワーMOSFETおよびスイッチング時間調整用のゲート抵抗です。

ゲート抵抗を挿入することにより、MOSFETのスイッチング時間を時間が遅くし高周波のEMIレベルを低減できます。
しかしながらゲート抵抗を大きくし、スイッチング時間が遅くなるとMOSFETのスイッチング損失が増加するため、効率が低下します。使用するMOSFETにより最適値が異なりますが、5~50Ωを目安にゲート抵抗を選定してください。

絶縁フライバック回路においてMOSFETには、AC入力に加え、MOSFETオフタイム時に生じるフライバック電圧およびスナバ電圧が印加されます。(図41参照)
印加される最大電圧VQ1は式(30)で表され、それ以上の定格電圧を持つ製品を選定する必要があります。またオン抵抗が小さいMOSFETを使用することでMOSFETの損失が低減でき効率の向上が期待できます。

今回の例では、定格電圧800V、定格電流2.5Aの製品を選定しています。

Vrms_max 入力電圧の上限値(実効値)
N1 トランス1次側巻線数
N2 トランス2次側巻線数
VLED LED電圧
VF 整流ダイオード(D2)の順方向電圧
Vsnub スナバ電圧(=100V~150V)

以下に計算例を示します。
Vrms_max=240V, N1/N2=4, VLED=19.2V, VF=1.0V, Vsnub=150Vの条件では、MOSFETに印加される最大電圧は

となることがわかります。
別途計算ファイルにも同じ計算をさせています。ご利用下さい。

7-10.LED電流調整(R3,R4)

LED電流を調整するため、外付けパワーMOSFETを流れる電流を調整するセンス抵抗です。センス抵抗を調整することでLED電流が設定されます。

今回の例で用いるAタイプでは、全波整流後の電圧をR1、R2で分圧しVSINE端子へ印加します。VSINE端子電圧は外付けパワーMOSFETに流れる電流をR3、R4で電圧変換したISEN端子電圧と比較することで、外付けパワーMOSFETに流れる電流を制御しています。

MOSFETを流れる電流のピーク値はセンス抵抗R3、R4により式(31)のように決定されます。但し、Bタイプとは異なり、VSINE端子電圧にAC入力と同相信号が入力されるため、MOSFETを流れる電流のピーク値は刻々と変化します。(図34参照)

Ip(t) 時間tにおけるMOSFETを流れる電流のピーク値
Vrec(t) 時間tにおける全波整流後の電圧
R1~R4 図30参照
α 内部定数 0.2783

絶縁フライバック回路の非連続モードでは、MOSFETを流れる電流、コイル電流は図35に示すようになります。LED電流はトランス2次側巻線IL2を流れる電流の平均値となるため、LED電流を目標の設定値にするためには、式(32)を満たすようにセンス抵抗を調整します。

実機では、式(32)の値と異なることがあるため、IC内部遅延等を考慮した別途計算ファイルにて算出してください。

ILED LED電流設定値
IL2(t)  時間tにおけるトランス2次巻線を流れる電流
f 商用電源周波数 50Hz/60Hz

7-11.出力容量(C4)

LEDのリプル電流およびリプル電圧を抑制するためのコンデンサです。

今回の例では、Aタイプを用い絶縁フライバック回路で力率改善を行っているため、入力電流およびトランスの2次側巻線を流れる電流は図42に示すように、AC入力と同相となります。そのためLED電圧のリプル電圧は、商用周波数とスイッチング周波数の2種類の周期により変動しております。

しかしながら、今回の例では商用周波数の周期によるLED電圧の変動が、スイッチング周波数の周期によるLED電圧の変動に比べ非常に大きいことから、スイッチング周波数の周期の成分を無視し出力容量を算出します。

出力容量の容量値は、LED電流のリプル電流率によって決定されます。ここではリプル電流率0.8を目標値として容量値を決定します。

まずILED=350mAに対し、リプル電流率0.8 (リプル電流350mA×0.8=280mA)以下に抑える場合、使用するLEDのIV特性から、許容されるVrippleを算出します。ここでは図43より0.35V×6=2.1Vとなります。

(図42)トランスに流れる電流とLED電流

(図43)LEDのIV特性

リプル電圧はトランスの2次側巻線電流、LED電流、出力容量の容量値より式(33)で表すことができます。これよりリプル電圧2.1Vを満たすことができる容量値を選定します。

また出力容量に電解コンデンサを使用する場合、リプル電流に余裕のある製品を選定してください。

Vripple LED電圧に許容されるリプル電圧
IL 2(t) 時間tにおける、トランスの2次側巻線を流れる電流値
ILED(t) 時間tにおける、LED電流値
C 出力容量C4の実効容量値
t1、t2 IL 2(t)とILED(t)が等しくなる時間t1、t2

実際の計算は、算出が複雑なため、計算ファイルをご確認願います。
また実際にはコンデンサのESRの影響や、LEDのIV特性が非線形であるため、実機と異なることがあります。
実機での確認の上、容量値を選定してください。

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