LED照明コントローラー XC9401設計ガイド(5/9)

5.動作説明

本項では、XC9401シリーズの制御方式および動作状態について、説明いたします。
外付け部品の選定方法は、非絶縁型回路については6項の「非絶縁型回路 部品選定方法」で、絶縁型回路については7項の「絶縁型回路 部品選定方法」にて記載しておりますので、そちらを参照願います。

5-1.通常動作

5-1-1.電流制御方式および入力電圧/入力電流について

XC9401シリーズではVSINE端子電圧、あるいは、IC内部レファレンス電圧と、コイル電流、あるいは、トランス1次側巻線電流を電圧変換したISEN端子電圧を比較することにより、LED電流を調整します。ここでは、非絶縁型回路を用いて各タイプでのコイル電流、LED電流の動作について説明します。

Aタイプ: 高力率対応

Aタイプでは、VSINE端子電圧とISEN端子電圧を比較することにより、コイルのピーク電流がVSINE端子電圧に従順するように制御します。

全波整流後の電圧を抵抗分圧し、VSINE端子に入力電圧(正弦波)と同相の電圧を入力します。VSINE端子から入力された電圧はIC内部で0.2783倍され、コンパレータ(PWMCMP)において、スイッチングによるコイルのピーク電流を監視しているISEN端子電圧と比較します。

ISEN端子電圧が比較電圧より高くなるとスイッチングを停止し、コイルのピーク電流がVSINE端子電圧と同相になることで、入力電圧と入力電流が同相になり高力率を達成することができます。

(図10)XC9401 Aタイプ 非絶縁回路と動作波形

Cタイプ: 定電流制御

Cタイプでは、ISEN端子電圧をIC内部の基準電圧0.3400V(typ.)と比較しコイルのピーク電流を制御します。これより、コイルのピーク電流は入力電圧によらず一定となり、LED電流として良好なラインレギュレーション特性を得ることができます。

(図11)XC9401 Cタイプ 非絶縁回路と動作波形

5-1-2.オフタイム固定制御およびオンタイム/オフタイムの算出

XC9401シリーズでは、外付けパワーMOSFETのオフタイムを6.0µs(typ.)に固定し、パワーMOSFETに流れる電流を制御しています。スイッチングのオン動作中にコイル、または、トランス1次側巻線のピーク電流を検出することでオフになり、固定のオフタイムが経過すると次のオン動作を開始する事を連続して行います。

オン時間は、コイルのピーク電流をISEN端子電圧で監視するため、コイル電流、あるいは、トランス1次側巻線電流の傾き(インダクタンス値とスイッチング時の全波整流後の電圧Vrecに依存)とコンパレータ(PWMCMP)の比較電圧に依存します。特にCタイプでは、平滑された電圧Vrecが刻々と変化するため、それに追従しオンタイムが変動します。これにより、発振周波数が分散することで特定周波数とならず、EMIレベルの低減を行うことができます。

非絶縁型回路および絶縁型回路では、オンタイム/オフタイムの算出方法および動作時の電流波形が異なりますので次項にて説明します。

非絶縁型回路

非絶縁型回路において、非連続モードで動作する条件では、コイル電流が一旦0Aとなっても次のオンまで固定のオフタイムを維持します(図12)。連続モードでは、固定オフタイム後、コイル電流が0A以上の状態でオンします(図13)。

オンタイムtONおよび非連続モード時のオフタイムtOFF'は式(1)、(2)にて表されます。
但し、ICの動作を安定させるために最小のオンタイムが内部で0.2µsに設定されています。

(図12)非連続モード時のコイル電流波形

(図13)連続モード時のコイル電流波形

VLED LED電圧
Vrec(t) 時間tにおける全波整流後の電圧
ΔIL コイルの電流振幅
VF フライホイール・ダイオードの順方向電圧
L コイルのインダクタンス値

参考の計算結果は、別途計算ファイルにて算出できます。

絶縁型回路

絶縁型回路において、外付けパワーMOSFETがオンしている期間はトランス1次側巻線に電流が流れ、オフ時に2次側巻線を通して電力供給を行います。(図14、図15)

非連続モードでは、トランス2次側巻線電流が一旦0Aとなっても次のオンまで固定のオフタイムを維持します。連続モードでは、固定オフタイム後、トランス2次側巻線電流が0A以上の状態でオンします。

オンタイムtONおよび非連続モード時のオフタイムtOFF'は式(3)、(4)にて表されます。 但し、ICの動作を安定させるために最小のオンタイムが内部で0.2µsに設定されています。

(図14)非連続モード時のトランス電流波形

(図15)連続モード時のトランス電流波形

VLED LED電圧
Vrec(t) 時間tにおける全波整流後の電圧
ΔIL トランス1次側を流れる電流の振幅
VF 整流ダイオードの順方向電圧
L トランスのインダクタンス値
N1 トランス1次側巻線数
N2 トランス2次側巻線数

参考の計算結果は、別途計算ファイルにて算出できます。

5-2.起動時

XC9401ではPWM調光をEN/DIM端子から行えるようにするため、ソフトスタート機能は入っていません。
IC起動時においても、外付け抵抗RSENによりISEN端子電圧を監視し、コイル、あるいは、トランス1次側巻線のピーク電流を制御するため、設定された電流以上に突入電流が流れることはありません。

ENスタートアップ

AVDD端子にUVLO解除電圧以上の電圧が印加されている場合、EN/DIM端子にHレベル電圧以上の信号を入力することでICを起動することができます。AタイプではEN/DIM端子がHレベル電圧に達し140µs(typ.)の遅延後、Cタイプでは6µs(typ.)の遅延後、通常動作となります。(図16)

(図16)ENスタートアップ

ACスタートアップ(VDD=EN)

AC電源入力後、全波整流後の平滑された電圧VrecからRVDDを経由してCVDDへ電荷をチャージすることでVDD端子電圧が上昇します。UVLO解除電圧7.5V(typ.)に達するとUVLOが解除され、通常動作となります。(図17)

(図17)ACスタートアップ

AC電源入力から通常動作までの時間は 式(5)で概算値を算出することが可能です。

(図18)VDD回路概要図

RVDD 図18参照
CVDD 図18参照
VUVLOR UVLO解除電圧 7.5V(typ.)
ISTB スタンバイ電流225µA (typ.)
Vrms 入力電圧実効値(例220V)

5-3.スタンバイ時

EN/DIM端子にLレベル電圧以下の電圧を入力することで、IC内部回路はスタンバイ状態になります。スタンバイ時では、IC内部回路が動作している状態で、スイッチングを停止しています。これによりLEDを消灯させ消費電力を抑えることができます。

5-4.Dimming

EN/DIM端子にPWM信号を入力することで、PWM信号に同期してGATE出力のオン/オフを制御し、PWM調光を行います。PWM調光に使用する周波数は、500Hz~1kHz程度を目安にして下さい。

Cタイプでは、EN/DIM端子電圧がHレベル電圧に達してから、GATE出力がHレベル電圧になるまで6µsと短いため、PWM信号に対して高速に追従できDuty幅を調整することによりLED電流を1%~100%の範囲で細かく調光することが可能です。

Aタイプでは、EN/DIM端子電圧がHレベル電圧に達してから、GATE出力がHレベル電圧になるまで140µsかかるため、最小オンDutyは140µs以上必要となり、100%Duty未満の最大オンDutyは(1周期-140µs)以内となります。

(図19)PWM調光タイミング(XC9401 Cタイプ)

5-5.保護機能

XC9401シリーズには、過電流保護、サーマルシャットダウン、UVLO、VDD過電圧保護の4つの保護機能が搭載されています。

5-5-1.過電流保護

外付けパワーMOSFETのスイッチング電流が過電流状態になり、ISEN端子電圧が0.7V(typ.)に達すると、GATE端子にLレベル電圧を出力し、外付けパワーMOSFETをオフします。さらに、オフタイムを通常の6.0µsから一旦約140µsへ延長します。延長したオフタイム後、ISEN端子電圧が0.7V(typ.)以下になると通常動作に戻ります。

非絶縁型回路においてLED間が短絡すると、オフタイムにおけるコイル(L2)の電流傾きが通常発振時と比べ小さくなるため、オフタイム6.0µsでは放電が十分できなくなります。最小オンタイムの間、外付けパワーMOSFET Q1は必ずオンするため、コイル電流は徐々に増加していきます。コイル電流の増加と同期してISEN端子電圧は高くなり、ISEN端子電圧が0.7Vに達するとオフタイムを約140µsまで延長します。(図20)

(図20)非絶縁回路において、LED間が短絡した時の過電流保護動作

5-5-2.サーマルシャットダウン

熱破壊からICを保護するため、チップ温度が150℃(typ.)に達するとサーマルシャットダウンが働きGATE端子電圧を強制的に'L'状態にし、LEDへの電力供給を抑えます。チップ温度が130℃(typ.)まで下がると自動的に通常動作に戻ります。

5-5-3.UVLO

VDD端子電圧がUVLO検出電圧(VUVLO)以下になると、誤パルス出力を防止するためにGATE端子電圧を強制的に'L'状態にします。VDD端子電圧がUVLO解除電圧(VUVLOR)以上になると通常動作となります。
UVLO検出時は、IC内部回路が動作している状態で、スイッチングを停止しています。

5-5-4.VDD過電圧保護

スタンバイ時等にVDD端子電圧に過電圧が入力され、ICの破壊を防ぐ機能です。VDD端子電圧がVDD過電圧検出電圧(VOVP)以上になると、VDD端子-GND端子間の抵抗(IC内部)によりVDD端子-GND端子間容量CVDDの電荷をディスチャージします(図21)。

その時、GATE端子電圧は強制的に'L'状態となります。VDD端子電圧がVDD過電圧解除電圧(VOVPR)以下になると通常動作に戻ります。(図22)

実際には、ICへの電源供給にトランスを用いた構成(図21)において、スタンバイ状態になると上述の動作(図22)となります。

(図21)トランスを使用する方式のVDD回路

(図22)VDD過電圧保護動作

この記事で紹介した製品

XC9401

推奨品

LED 照明用オフラインコントローラ IC、A タイプは力率を考慮した回路構成で、LED 電流を入力電圧(正弦波)と同期させることにより高力率を達成します。B タイプ、C タイプは、スイッチングによる外付けパワーMOSFET に流れるピーク電流を一定にすることで、LED 電流を一定に保つことができます。

LED 照明用オフラインコントローラ IC、A タイプは力率を考慮した回路構成で、LED 電流を入力電圧(正弦波)と同期させることにより高力率を達成します。B タイプ、C タイプは、スイッチングによる外付けパワーMOSFET に流れるピーク電流を一定にすることで、LED 電流を一定に保つことができます。

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