2つの電源を並列接続する新たな回路構成

本TIPSでは、2つの電源(外部電源とリチウムイオン電池からの供給)を並列で接続して単一の出力に供給する回路構成について説明します。リチウムイオン電池、動作していない間にメインボードから供給される電流のごく一部分をサンプリングすることで充電されます。ここに示す回路構成はTips”並列使用におけるXC9131Hと外部電源”で示した概念をさらに拡張させたものであるため、本書を読む前にTips”並列使用におけるXC9131Hと外部電源”を参照することをお奨めします。なお、ここで提案する回路構成で推奨される唯一のICはXC9135M(出力電圧内部固定、CL放電機能なし、UVLO(Under Voltage Lock Out)閾値は3.0V工場設定)であることに留意してください。

以下に、提案する回路構成を示します。入力電流は、XC6227 LDO電圧レギュレータ(逆電流保護回路内蔵)とXC6802リチウムイオン電池チャージャの間で分岐されます。XC9135M昇圧型同期整流DC/DCコンバータはリチウムイオン電池の後段に接続し、XC9135Mの出力とXC6227の出力を接続します。なお、Tips”並列使用におけるXC9131Hと外部電源”に記載されている通り、XC9135MはPWM/PFMモード(MODE=GND)で動作させる必要があります。

回路図に示すように、XC9135MのEN端子とBAT端子は接続されています。これにより、外部電源が取り外された場合でもEN端子を制御することなく出力回路に電流を供給し続けることができます。ただしリチウムイオン電池の電圧が低すぎる場合、XC9135MはUVLO機能により動作を停止します。
また外部電源が取り外された場合などで、XC9135Mの動作/スタンバイ状態を詳細に制御したい場合は、EN端子に外部信号を入力することでXC9135Mの動作/スタンバイ状態を詳細に制御できます。

本回路では外部電源の有無および外部電源電圧により、A~Cの条件での動作が考えられます。各条件での動作は以下の通りです。

ケースA:外部電源接続時 - VOUT1がVOUT2よりも高い場合(外部電源電圧が高い場合)

外部電源電圧が高くXC6227の出力電圧VOUT1がXC9135Mの設定電圧VOUT2より高い場合の動作となります。
この条件では、XC6227から出力回路に電流供給を行います。このときXC9135Mは出力回路の電圧が設定電圧より高いことを検出するため、出力回路への電流の供給を行いません。また出力回路への電流供給と併せて、XC6802によりリチウムイオン電池の充電も行われます。

ケースB:外部電源接続時 - VOUT1がVOUT2よりも低い場合 (外部電源電圧が低い場合)

外部電源電圧が低い条件での動作となります。本回路では外部電源電圧が5.0V以下になると、XC6227は設定電圧5Vを出力することができず、XC6227の出力電圧は入力電圧以下となります。
外部電源電圧がさらに低下し、XC6227の出力電圧VOUT1がXC9135Mの設定電圧VOOUT2より低くなり、XC9135Mから出力回路に電流を供給し始めます。
この回路の最大の特徴は、ケースAの条件下でもXC9135Mが動作しているため、外部電源電圧が急激に低下した場合でも出力回路に電流を供給することが可能となります。
またXC6227は逆流保護回路を内蔵しているため、XC6227に逆電流が流れるのを防止します。

ケースC:外部電源未接続時

外部電源が未接続時の動作となります。
この場合、リチウムイオン電池を電源としてXC9135Mが動作し、出力回路に電流を供給します。またXC6227は逆流防止機能を内蔵しているため、VOUT端子からVIN端子への逆電流は流れません。

設計上の重要点

ここでは、いくつかの外付け部品とICについて、それらを採用した理由を示しながら詳細を説明します。

①充電電流設定方法

充電電流が大きすぎると、XC6802は外部電源から過剰な電流を引き込むために、XC6227から出力回路に供給する電流が不足します。例えば外部電源から最大500mAが供給可能で、出力回路で最大出力電流が300mAの場合、XC6802の充電電流が200mA以下に調整する必要があります。

②LDO選定方法

LDOは入出力電位差が小さい(出力電流による電圧降下が小さい)ことと、高い出力電圧精度という2つの特性を兼ね備えている必要があります。これらの特性を満たすLDOを使用することで、ケースAからケースBの状態になる外部電源電圧の閾値を上昇させることができ、XC9135Mの動作頻度を抑えることでリチウムイオン電池の消耗を抑制できます。

③昇圧DCDCコンバータのUVLO機能について

本回路に用いる昇圧DCDCコンバータはUVLO機能内蔵品もしくは、外部回路にて同様の機能を追加する必要があります。
外部電源が未接続の場合、上述の機能がないとリチウムイオン電池が過放電状態まで昇圧DCDCコンバータが動作する可能性があります。そのためUVLO機能もしくは外部回路にて、リチウムイオン電池の電圧が一定以下になると昇圧DCDCコンバータの停止させる必要があります。 UVLO機能を備えたXC9135MではUVLO検出電圧を必要に応じて選択できるため、リチウムイオン電池の電圧が特定の値(2.9Vなど)以下になると、確実に動作を停止するようにできます。

④昇圧DCDCコンバータの出力電圧精度

昇圧DC/DCコンバータの出力電圧精度が高いものを選定する必要があります。
もし出力電圧の精度が低ければ、昇圧DCDCコンバータの設定電圧のばらつきが大きく、ケースAからケースBの状態になる外部電源電圧の閾値を低下させ、XC9135Mが頻繁に動作することでリチウムイオン電池の消耗する可能性があります。
またXC9131シリーズのような出力電圧外部調整品では、外付け部品のばらつきにより出力電圧精度が悪くなるため、XC9135シリーズのような出力電圧内部調整品の使用を推奨しております。

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