DC/DCコンバータIC外付け部品選定方法

外付け部品の選定

DC/DCコンバータの外付け部品の選定について説明します。外付け部品はDC/DCコンバータの諸特性に大きく影響するため注意が必要です。

外付け部品の品番等はデータシートの標準回路例を参考にしてください。
外付け部品によりDC/DCコンバータ特性は表1のように影響します。

表1. 特性に応じた外付け部品の選定
  コイル 負荷容量CL ショットキーDSD 外付けTr.(MOSFET)
外付けTr.
(バイポーラ)
L DCR RB CB
出力電流を大きくする VF小 (低ON抵抗)
高効率にする 軽負荷 - IR小 -
重負荷 - VF小 (低ON抵抗)
出力リップルを小さくする - - - - -
過渡応答を良くする - - - - -

備考) 外付けTr.としてパワーMOSFETを使用した場合、RB、CBは不要です。
各々の外付け部品の詳細については、以下を参考にしてください。

コイル

インダクタンス値は、発振周波数及び出力電流(負荷)に応じて表2を参考に選択してください。
発振周波数が高いほど、インダクタンス値が低いものを選択できるため、コイルの形状を小さくする事ができます。
コイルは可能な限りDCR(直流抵抗)の低いものを使用してください。

L値を小さくしていくとピーク電流(Ipeak)は大きくなり、あるL値で最大出力電流が最大となります。また、L値を大きくしていくとピーク電流によるスイッチング損失が小さくなり、ある点で効率が最大となります。
更にL値を大きくしていくとコイルの直流抵抗(DCR)による損失が大きくなり効率が悪化します。
コイルを選定するにあたり、定格(許容)電流にご注意ください。定格(許容)電流を超える電流を流すとコイルは発熱し、磁気飽和を起こし著しく効率が悪化します。また、大電流によるIC破壊を引き起こしますのでピーク電流が許容電流を超えない様に選定してください。

表2.インダクタンス値の選定の目安
  50kHz 100kHz 180kHz 300kHz 500kHz
軽負荷330μH220μH100μH47μH22μH
中負荷220μH100μH47μH22μH10μH
重負荷100μH47μH22μH10μH6.8μH

参考データ

同一コイル形状のものを使用し発振周波数の違いによる効率を比較したXC6367A、XC6368Aのグラフです。

XC6367Aシリーズ、5V品、Vin=3.3V

Tr.=XP161A1355PR, SD=MA2Q737, Coil=CR54, Cin=220μF, CL=47μF

XC6367Aシリーズ、5V品、Vin=3.3V

Tr.=XP161A1355PR, SD=MA2Q737, Coil=CR54, Cin=220μF, CL=47μF

断続モード時、コイルのピーク電流値ILpeakは以下の式で表せます。コイルの許容電流がコイルのピーク電流値以上のコイルを使用してください。なお、以下の式は損失のない理想状態の場合の計算式ですので、実際には計算値より大きな値となります。

ILpeak2=2(Vout-Vin) x Iout ÷(L x fOSC)

例) Vin=3V、Vout=5V、Iout=10mA、fOSC =100kHz、L=100μH の場合
ILpeak=SQRT(2 x (5-3) x 0.01/(100000 x 0.0001)) ≒63mA

ダイオード

  1. 順方向電圧VFの小さいものを使用してください。順方向電圧の電圧降下による損失を抑え、効率を向上出来ます。
    また、昇圧回路では、動作開始電圧も低下します。目安としてコイルのピーク電流値でVFが0.6V以下となる製品を選定してください。
  2. 端子間容量の小さいものを使用してください。端子間容量が大きい場合、スイッチング速度が遅くなり、ダイオードのターンON、ターンOFF時に発生するスパイクノイズが大きくなる場合があります。また、スイッチング速度が遅い場合スイッチング損失が大きくなります。
  3. 逆方向リーク電流IRの小さいものを選択してください。IRが大きい場合、軽負荷時の効率低下及びスパイク・ノイズの増加等の悪影響があります。特に高温時にIRは大きくなりますので注意が必要です。大電流(低VF)タイプは基本的にIRが大きくなる傾向があります。
  4. 定格電流は昇圧DC/DCの場合、使用する入力電圧下限値(降圧DC/DCの場合入力電圧上限値)にてコイルのピーク電流の2~3倍以上のものを目安に選定してください。
    特にPFM制御の場合、ピーク電流値が大きくなりますので注意が必要です。
  5. 定格電圧は昇圧DC/DCの場合、出力電圧(降圧DC/DCの場合入力電圧)の1.5倍以上のものを目安に選定してください。
    実機にて端子間電圧が定格を超えない事を確認してください。

負荷容量(CL)

  1. 負荷容量が低ESR対応製品で容量にセラミックコンデンサを使用した場合、温度特性に注意してください。
    B特性品以外では周囲温度やDCバイアス特性により著しく容量が減少し、ICが正常動作しない場合があります。
    また低ESR対応製品はタンタルコンデンサ、導電性高分子コンデンサ、アルミ電解コンデンサも使用出来ますが、十分動作確認した上でご使用ください。
  2. 負荷容量がタンタルコンデンサ対応製品の場合、最低10μF以上を使用してください。出力電流が100mA以上の用途では負荷容量を100μF以上を接続してください。
    負荷容量のESR(等価直列抵抗)値は、0.1Ω~0.5Ω程度の物を選択してください。低ESRのコンデンサ(機能性高分子コンデンサ等)を負荷容量として使用した場合、製品によってはICの位相補正が十分に行えず、異常発振する場合があります。
    基本的にセラミックコンデンサは使用できませんのでご注意ください。
    また、タンタルコンデンサ対応製品の場合でも機能性高分子コンデンサ、アルミ電解コンデンサも使用出来ますが、十分動作確認した上でご使用ください。
  3. アルミ電解コンデンサを使用する場合、低温時の容量低下及びESRの上昇に注意して標準回路の2~3倍以上の負荷容量を選択し、並列にタンタルコンデンサ10μF以上またはセラミックコンデンサ0.1μF~1μF程度を入れてください。
    アルミ電解コンデンサは、許容リップル電流に注意してください。過大なリップル電流を流した場合、発熱により寿命が短くなります。(出力リップル電圧が50mV以下になるように選定してください。)
    詳細な選定方法については下表に記載します。

昇圧DC/DCコンバータ

製品名負荷容量の設定負荷容量の判定基準
XC6367
XC6368
・タンタルコンデンサ

●動作確認
常温で最低負荷容量CL=10μF以上、かつ次の(A)、(B)、(C)を満たす必要があります。

(A)入力電圧範囲にて使用最大負荷電流(MAX)時にVOUT-GND間のリップル電圧が100mVp-p以下にする。
(B)使用温度範囲にて、VOUT-GND間のリップル電圧が150mVp-p以下にする。
備考:XC9103/04/05シリーズ及びXC9106/07シリーズは、セラミックコンデンサ使用の場合、ショットキーダイオードのカソードのリップル電圧。〔項目(A)、(B)〕
(C)ICがPWM動作状態で出力電流を流した時にリップル電圧に混じって異常発振(数kHz程度の大きな発振波形)がない事を確認する。
→以上の条件を満足できない場合はコンデンサ容量を追加してください。

●負荷容量(CL):セラミックコンデンサの場合
・温度特性:B特性(JIS規格)またはX7R,X5R(EIA規格)をご使用ください。
・セラミックコンデンサは、印加電圧が定格電圧に近いほど、静電容量が減少します。そのため、DCバイアス-静電容量変化率グラフを確認の上、電圧マージンをとる、もしくは負荷容量を追加してご使用ください。

XC6371
XC6372
XC9101

・セラミックコンデンサ

・タンタルコンデンサ

・導電性高分子コンデンサ

(注)XC9103-07で導電性高分子コンデンサの場合、RSENSEを50mΩ~70mΩ程度に変更する必要があります。

XC9103
XC9104
XC9105
XC9106
XC9107

降圧DC/DCコンバータ

製品名負荷容量の設定負荷容量の判定基準
XC6365
XC6366
・タンタルコンデンサ、
・導電性高分子コンデンサ

●動作確認
常温で最低負荷容量CL=10μF以上、かつ次の(A)、(B)、(C)を満たす必要があります。

(A)入力電圧範囲にて使用最大負荷電流(MAX)時にVOUT-GND間のリップル電圧が100mVp-p以下にする。
(B)使用温度範囲にて、VOUT-GND間のリップル電圧が150mVp-p以下にする。
備考:XC9235/36/37シリーズは、リップル電圧が50mVp-p以下。〔項目(A)、(B)〕
(C)ICがPWM動作状態で出力電流を流した時にリップル電圧に混じって異常発振(数kHz程度の大きな発振波形)がない事を確認する。
→以上の条件を満足できない場合はコンデンサ容量を追加してください。

●負荷容量(CL):セラミックコンデンサの場合
・温度特性:B特性(JIS規格)またはX7R,X5R(EIA規格)をご使用ください。
・セラミックコンデンサは、印加電圧が定格電圧に近いほど、静電容量が減少します。そのため、DCバイアス-静電容量変化率グラフを確認の上、電圧マージンをとる、もしくは負荷容量を追加してご使用ください。

XC9235
XC9236
XC9237

・セラミックコンデンサ

昇降圧DC/DCコンバータ

製品名負荷容量の設定負荷容量の判定基準
XC9301
XC9302
・タンタルコンデンサ
●動作確認
昇圧DC/DCコンバータに同じ。

*導電性高分子コンデンサ使用の場合、一部の製品について式を満たさない事があります。
そのため、異常発振していないか実機にて十分評価した上でご使用ください。
コンデンサのESR値につきましては、製造メーカーへお問合せください。

入力容量(Cin)

  1. 降圧DC/DCの場合、入力容量はICの電源リップル除去コンデンサとなりますので、できる限りICに近接して接続してください。
  2. 昇圧DC/DCの場合、入力電源のインピーダンス成分の影響を低減するためCinを接続してください。負荷容量とは異なり、ESR値はCinのコンデンサの種類を問わずできる限り低いものを選択してください。

外付けTr.

入力電圧が1.2V程度以下の用途では、パワーMOSFETをオンするゲート電圧が得られない場合がある為バイポーラTr.を使用してください。出力電流が大きい用途では、オン抵抗の小さなパワーMOSFETを使用してください。
大電流タイプのバイポーラTr.を使用した場合、一般的に電流増幅率hFEが小さい事により、ベース電流が多くなるので効率がMOSFETに比べ劣ります。

パワーMOSFET

  1. 入力容量Ciss、及び出力容量Cossの小さい物を使用してください。1000pF以下の容量を持つMOSFETを使用してください。
  2. スイッチング速度の速い(ターンオン遅延時間 td(on)が短い、上昇時間trの短い、ターンオフ遅延処理時間td(off)の短い)ものを使用してください。スイッチング速度が速くなるのに伴い効率が上昇します。
  3. ゲート.ソース間カットオフ電圧Vgs(off)は入力電圧に比較して十分低いものを使用してください。ICの電源電圧が1.2V程度より低い場合バイポーラTr.を使用してください。昇圧DC/DCのスタートアップ時には、ICの電源端子にVgs(off)以上の電圧が印加されている必要があります。
  4. ドレイン・ソース間のオン抵抗Rds(on)の低いものを使用してください。但し、オン抵抗の極端に低いものは一般的には容量値Ciss、Cossが大きい傾向があります。Rds(on)とCiss、Cossの間にはトレードオフの関係が存在します。
  5. 定格電流は昇圧DC/DCの場合、ピーク電流の2~3倍程度以上のものを目安に選定してください。(降圧DC/DCの場合は出力電流×降圧比×2倍程度を目安)実機にて、発熱を確認の上選定してください。特にPFM制御の場合、ピーク電流値が大きくなりますので注意が必要です。
  6. 定格電圧は昇圧DC/DCの場合、出力電圧(降圧DC/DCの場合入力電圧)の1.5倍以上のものを目安に選定してください。実際には、実機にて端子間電圧が定格電圧を超えない事を確認してください。
  7. 許容損失の目安として、回路も損失(効率の低下分)が全てTrで消費される場合を想定して、それ以上のものを選定してください。出力電圧が高く、出力電流が大きい場合、電力損失に耐えうる十分マージンを持つものを選定してください。また、使用温度範囲にて部品発熱を確認して必要に応じて放熱対策をしてください。

バイポーラTr.

  1. 電流増幅率 hFE は、100~500程度の範囲の物を使用してください。hFE が極端に大きいTr.は、一般にベース電流が小さく、OFFリーク電流が大きいので注意してください。
  2. できる限りスイッチング速度の速い(ターンオン時間tonが短い、下降時間tfの短い、蓄積時間tstgの短い)ものを使用してください。スイッチング速度に伴い効率が向上します。コレクタ出力容量Cobの小さい(数10pFを目安)ものを使用してください。

バイポーラTr.のRB、CB値

ベース抵抗RB

ベース抵抗RB は、250Ω~2kΩの範囲内で使用してください。 250Ω以下にした場合IC側の動作に影響しますので上記範囲内で使用してください。
RB値を小さくした場合(200Ω~500Ω程度)、出力電流は大きくなりますが、軽負荷時の効率が低下します。
RB値を大きくした場合(750Ω~2kΩ程度)、出力電流は小さくなりますが、軽負荷時の効率が向上します。

RB値は、TrがON時のコレクタ電流値ISW(IC)から以下の式で求まります。電流増幅率hFEのばらつき等を考慮しISE(IC)として実際の3倍程度以上の値で計算してください。

ISW(IC)=hFE x IB = Vout ÷ (RB + REXTH)
RB≦(Vout-0.7)×hFE ÷ ISE(IC) - REXTH

例) Iin=100mA、Vout=5.0Vz、hFE=200の場合 250Ω≦RB≦1.4kΩ

スピードアップコンデンサCB

効率を上げるために、スピードアップコンデンサCBを挿入します。
RB値及びスイッチングレギュレータの発振周波数focsによって、CB値を調整します。

CBの値は以下の式を目安に選定してください。スイッチング速度が速くなり効率が向上します。

CB ≧ 1÷(2π x RB x fosc x 0.7)
例) RB=1kΩ、fosc=100kHzの場合、CB=2200pF~3300pF 程度

CB値を大きくしていくとスイッチングスピードが上がりますが消費電流も多くなります。ある程度大きくしてもスイッチングスピードの変化が少なく効果がありませんので、上式を目安に使用してください。

当社製品の周辺回路部品を選択するにあたり、お客様の使用条件により選定が若干変わってきますが上記記述を参考にして頂き、実機にて十分に検討お願い致します。

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