電流制限回路 フォールドバック フの字回路の解説(XC6219)

小型汎用ボルテージレギュレータXC6219は、過電流保護のためフォールドバック(フの字)回路動作が採用されています。さらに、制限電流回路も同時に動作することで、相乗的な効果を得、出力電圧の短絡や過電流、これらによるICの発熱からICを保護しています。

電流制限回路とフォールドバック回路

基本特性

電流制限回路とフォールドバック回路動作の特性グラフ(図1)

図1

電流制限回路の役割

まずは、電流制限回路の説明です。図2を参照してください。ボルテージレギュレータでは通常、出力電流が増加しても、出力電圧は一定に保たれます。出力電流が大きくなると、入出力電位差が大きな場合などでは、ICの温度が上昇し発熱や破壊など不測の事態が発生する危険があります。
XC6219はサーマルシャットダウン回路が内蔵されていないため、このような事態からICを保護するためにICの発熱そのものが発生しないように動作します。
XC6219は出力電流が300mAを越えると電流制限機能が働き、それ以上の電流が流れるのを抑制し、その結果出力電圧が降下します。出力電圧が一定の値(XC6219の場合は約2.0V)に低下したら、フォールドバック回路が動作し、出力電流を低下させながら出力電圧をさらに低下させるので短絡状態でも発熱を防ぎます。

図2

起動時における電流フォールドバック回路の動作

フォールドバック回路はICの起動時にも動作します。

図3を参照ください。この図は、XC6219の標準特性に出力側に配置された負荷のI-V特性を、赤色で重ね合わせたものです。起動時は出力電圧が0Vから起動するので出力電圧は設定電圧より低くなります。この時フォールドバック回路が動作し、出力電圧が設定電圧より低い電圧で安定しながら徐々に上昇するのが分かります。

図3

起動時はA点から始まります。AからBにかけて、XC6219は負荷が必要とする電流を供給し、出力電圧は黒色で示すフォールドバック曲線に沿って上昇し始めます。一方、B点を過ぎた後、負荷の赤い曲線の値がXC6219のフォールドバック曲線の値を下回ります。その結果、フォールドバック回路が抑制する電流より負荷電流が大きくなり、出力電圧の上昇は停止します。このとき、I-V特性がXC6219のフォールドバック曲線と交差する点の値で出力電圧が安定します。本例では、この値はB点の出力電圧1.4Vに相当します。

負荷のI-V特性は、XC6219側から見た負荷抵抗の変動と等価です。そのため、赤色の曲線がフォールドバック曲線よりも下にある状態は、負荷抵抗が小さすぎることを意味します。

注意すべき点としては、フォールドバック回路にも、出力電流の抑制機能があり、負荷抵抗が小さすぎると出力電圧の上昇を止め、B点の電圧で安定する(ラッチ)ことがあるということです。つまりフォールドバック回路は、出力電流が電流制限値(XC6219Fの場合、標準で380mA)に達する前にラッチします。

フォールドバック回路は起動時に過大な電流が流れることを抑制するので、突入電流保護のような役割を果たします。これは専用の突入電流保護回路ほど十分なものではありませんが、フォールドバック回路のもう一つのメリットとなります。

結論

フォールドバック回路は、負荷の過電流が生じた時だけでなく、ICの起動時にも動作しており、突入電流や発熱を抑える役割があることが理解できたと思います。

 

注:トレックスや他社のLDOは、このように電流フォールドバック回路と電流制限回路を組み合わせたICが数多くありますが、その動作や構成はそれぞれ異なります。実際の使用時には仕様書や動作の確認を行うようにしてください。

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