並列使用におけるXC9131Hと外部電源

XC9131Hと外部電源とのOR回路と呼ばれる並列使用の方法について説明します。
以下の点から、回路構成と使用方法はシンプルです。

  • 外付け部品点数が少ない(アプリケーション上問題ない場合はLDOも取り除くことができます)
  • 2つの電源間で切り換えを行うために、XC9131HのEN、MODEピンの信号を調整する必要がありません

本説明においてXC9131Hを使用しますが、XC9135C、XC9135KおよびXC9136Nにも適用できます。説明の際、VSET、VBAT、VEXT、およびVOUTを頻繁に使用します。
これらは次のように定義されます。

  • VSET: XC9131Hが抵抗RFB1,RFB2,および内部基準電圧VREFを使用して、「設定を試みる」電圧
  • VBAT: BATピンを通じてXC9131Hに供給されるバッテリーの電圧
  • VEXT: 外部電源レールから供給される電圧。LDOを使用する場合は、そのLDOの出力電圧
  • VOUT: OR回路の出力電圧。VSETがX9131Hの目標出力電圧に対してVOUTはXC9131H回路の実際の出力電圧

外部バッテリーが外され、VSET > VEXTの時、VOUTと等しくなります。

上記回路図において、EN = “H”電圧(XC9131Hが動作)で、MODE = “L”電圧(XC9131HがPWM/PFMモードで動作)になっていることを確認できます。前述のように、これらの電圧を動作中に調整する必要はありません。
主に、以下に示す3つの状態が存在します。

本回路では主にA~Cの条件での動作が考えられ、各条件での動作は以下の通りです。

A)外部電源(USB、AC/DCアダプタ等)が取り外されている場合
XC9131Hが出力回路に電流を供給し、出力回路の電圧はVSETとなります。
B)外部電源が接続され、その電圧がXC9131HのVSETよりも高い場合
回路の出力は外部電源から供給されます。前述のように、XC9131HのENピンは“H”電圧を維持しており、XC9131Hは動作状態にあります。一方、XC9131Hにフィードバックされた電圧により、出力電圧が高いことを検出します。これによりXC9131Hは発振を停止し、出力回路の電圧はVEXTとなります。
C)外部電源が接続され、その電圧がXC9131HのVSETよりも低い場合

この場合、XC9131Hはフィードバックされた電圧により、出力電圧が目標のVSETよりも低いことを検出します。これによりXC9131Hは動作を開始し、出力回路の電圧はVSETとなります。

その結果、外部電源の電圧(LDOを使用している場合、VEXTではなく、そのLDOの前段の電圧)は、VOUTよりも低くなり、逆電流が流れます。逆電流保護回路内蔵のXC6227等のLDOを使用している場合、LDOと外部電源の両方を保護することができ、この逆電流を気にする必要はありません。

また、外部電源が少量の逆電流を受け入れられる場合(そしてその外部電源の電圧レギュレーションが十分な場合)は、LDOも不要になります。

FAQ(設計上の制約)

XC9131FをこのOR回路と組み合わせて使用できない理由は?

XC9131回路を単体で使用するアプリケーションの場合(外部電源が並列に接続されていない場合)、CL放電機能による付加的なメリットがあるため、XC9131HではなくXC9131Fの使用を推奨しています。

他方、XC9131回路を外部電源と並列に接続するアプリケーションの場合、PFMモードでは、出力電圧(VSET)がVEXTよりも低い時、XC9131Fは好ましくない状態で動作する可能性があります。この条件では、P-ch FETがオンになり、外部電源からXC9131Fに逆電流が流れることを許容してしまいます。この逆電流により、XC9131Fは損傷を受けやすくなります。

XC9131Hの場合は、同一の条件(PFMモード、VBAT < VSET < VEXT)でもP-ch FETは常にオフになり、VOUTピンを通じてXC9131Hに逆電流が流れることは決してありません。この安全な動作により、XC9131HをOR回路と組み合わせて使用できます。

MODEピンを“H”電圧にセットできない理由は?

MODEピンを“H”電圧にセットすると、XC9131Hは常時同期PWMモードで動作します。このモードでは、集積された2つのFETの一方が常にオンになります。本構成が推奨されないのはそのためです。

実際、VEXTがXC9131Hによりセットされた出力電圧(VSET)よりも高い場合、ICはデューティ比を可能な限り小さくして、出力電圧をVSETと同じ値まで低下させます。デューティ比を小さくすると、N-ch FETは殆どの時間オフになり、またN-ch、P-ch両FETは同時にオフにはならないため、P-ch FETが殆どの時間オンになります。その結果、P-ch FETからVOUTピンを通じてXC9131Hに逆電流が流れ、XC9131Hの内部回路を損傷します。

この問題を避けるには、MODEピンを“L”電圧にセットし、集積されたFETを両方とも同時にオフにできるよう、XC9131HをPWM/PFMモードにします。これで、XC9131HにVOUTピンを通じて逆電流が流れ込むことを防ぎます。

要約すると、

  • MODEピンが“L”電圧の時、XC9131HはPFMモードで動作します。PFMモードで動作し、VSET < VEXTであるため、P-ch FETは常にオフになり、ICを逆電流から保護します。
  • MODEピンが“H”電圧の時、XC9131HはPWMモードで動作します。PWMモードでは1.2MHzで発振しそのP-ch FETは多くの時間オンになるため、いくらかの逆電流がVOUTからVBATに流れます。
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